Di-Maccio Art Museum,The Forest of Taiyo

太陽の森 ディマシオ美術館

 

私たちは羊の水で守られた居心地の良い天国を食べ、2種の染色体に分かれて生まれる。本来、生死は神の領域だが、知能の発達を続けてきた人間の前では、その力は弱まりつつある。カードを表裏にするように、自然のロジックを捻じ曲げ歪め、本能にすら逆らって進化を見せてきた。本能に抵抗することによって、私たちはケダモノから離れ、あらゆるものを彩り、文明を築いた。動物と共にいると、本能を深く味わえる。人と同じく、愛を探し、苦痛を嫌い、自由を好み、仲間に慰めを求めるが、一転してケダモノの顔が現れると残忍で残酷の姿を見せ、そこには平等や権利、尊厳という考えは存在しない。理性があるはずの人間が、このケダモノ性を露わにするのは非常時だ。

羊の水を食べた赤青の子たち

命を取り込むことで、生命の連鎖を繰り返してきた。食べることは、生きることの選択であり、死への抵抗になる。ただ腹を満たすためならば、美しい彩りも、音楽を奏でることも必要ないけれど、私たちは意味を求めずにはいられない。それは長すぎる時間を生き抜くための、救いだから。しかしながら、この救いは、集団が同じ価値観を強要されるときに失われる。色濃くでた人間性の濁流の前では、別の個体を思いやる心は薄まる。いかにケダモノの領域から遠のき、その濁流を美しく青い川に戻そうと奮闘できるか、そして、それをよりどころにできるのか。

美しき青きドナウ

 

生きものは、自らの身体を脱いで生きる。古くなった皮膚は、剥がれ落ちて再生を繰り返す。精神にもこの構造が機能すれば良い。凝り固まり岩になった自分という鎧を脱いで、粛々と変化を受け入れる。脱皮不全に陥っているものを、疎外するでなく見守る。受け入れられない主義主張には、居ることは許す強さを持ちたい。太陽の光で姿形を変える月のように、影響しあって生きていくしかない。地球はひとつで、大地は過去と未来の借り物だ。借り物の大地も、私たちと影響しあって様相は変わった。人間を脱いで、変化を望んでいるのかもしれない。見通しは悪い。それでも、地上にも天国があると信じて。

蛇が見まもる月の道行

太陽の森 ディマシオ美術館

〒059-2343

北海道新冠郡新冠町字太陽204番地の5

TEL:0146-45-3312

2020年 開館日 2020年3月26日(木)~2020年11月23日(月・祝)の金・土・日・祝

    開館時間 9:30-16:30(16:30まで入館できます)

https://dimaccio-museum.jp/